エネルギー転換の社会経済的フットプリント

本レポートは、パリ協定の目標に合わせた包括的でより野心的なエネルギー変革が、経済成長と社会福祉を推進することを調査分析した。

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日本は再生可能エネルギーの導入容量が世界で最も高い国であるとともに、世界最大のエネルギー消費国でもある。化石燃料資源に乏しく、その供給のほぼ全てを輸入に依存しているため、日本は不安定な化石燃料価格や地政学的リスクなどの影響を受けやすい立ち位置にある。また、高齢化と農村経済の縮小といった社会経済的課題にも直面している。そのため、日本が 目標としている2050 年までのカーボンニュートラル達成に合わせて、それによる国民の幸福と福祉に及ぼす影響を把握する必要があるだろう。

本レポートの分析結果として、パリ協定の目標に合わせた、再生可能エネルギーの大幅な拡大とよりエネルギー需要量の低減を含む包括的でより野心的なエネルギー転換が、経済成長や社会福祉などの主要な政策目標の達成を後押しすることを示している。このようなシナリオに基づくエネルギー転換は地方経済を活性化し、地域の自治を高め、雇用を創出するユニークな機会を見込むことができる。

しかし、再生可能エネルギー技術の導入が自動的に経済・社会的利益がもたらされるわけではなく、エネルギー転換によるメリットを最大化するためにはより幅広い政策の枠組みが必要である。関連する多様なステークホルダーが協働してエネルギー転換を助長する環境を構築し、公正かつ包括的な政策枠組みを実施することが望ましいといえる。